麻原彰晃の精神崩壊にみるLSDの影響

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オウム真理教の教祖・麻原彰晃氏が逮捕されて20年。異例続きの(簡単に言えば結論ありきで憲法を無視した)裁判の結果、死刑が確定されており、逮捕からちょうど20年後の2015年5月16日が執行の日ではないかとウワサされていました。

しかし、いまのところは執行されていないようです。

ドキュメンタリー作家・森達也氏が書いた本「A3」と、麻原氏の三女である、宗教名「アーチャリー」のブログで、「麻原彰晃氏は正常な精神状態ではなく、訴訟能力がない」ことが、繰り返し主張されてきました。

念のためにもう一度書くと「訴訟能力がない」です。事件を起こした際の判断能力のことではなく、訴訟(裁判)を進めていく能力がない、ということです。まぁ、結果としてはそれを無視して死刑が確定しました。

なにをもって訴訟能力がないと判断したかは、「A3」やブログのまとめページに書かれていますが、いくつか抜粋すると・・・

  • 言葉を一切発せず、こちらかの呼びかけにも応答がない
  • 一定の動作を無意味に繰り返す
  • 失禁を繰り返し、糞尿にまみれた生活を続けている
  • 弁護人や子供たちの面前で自慰行為に耽る

完全に、生きる屍のような状態です。

人権的な問題も当然ありながら、当マガリスギサイトではあえてそこをスルーし、LSDの影響について考察してみます。あくまで想像です。

オウム真理教とLSD

オウム真理教はサイケデリクス(幻覚剤)であるLSDを製造し、信者へ奇跡的な体験を与えるための儀式「イニシエーション」で服用していました。いくつかのLSDは地下マーケットへも流出し、その高品質な効き方から「OLストリート」の俗称で羨望されていました。

オウム崩壊のころには、このLSDをごっそり倉庫から盗み出してフリーパーティが開催されたり、アンダーグラウンドカルチャーにも少なからず影響を与えていました(覚醒剤にも関わっており、相場を混乱させたこともあるけど割愛)。

イニシエーションの際はLSDが含まれた液体を麻原氏が口に含み、コップに吐き戻した物を信者が飲用していたとのこと。LSDは口の粘膜から急速に吸収されます。信者ひとりずつに対して「口に含んで戻す」という行為を繰り返していたら、想像を絶する量のLSDを摂取していたハズです。

一連の事件で逮捕された後、麻原氏は拘置所にひとりで入れられました。当初はかなり「手に負えない」存在だったため、 -これもにわかに信じがたい話ですが- なんらかの向精神薬のようなものを投与され、食事にも正体不明の「白い粉」が混ぜられていたという証言があります。(森達也著 A3より)

LSDには「フラッシュバック」という、LSDを服用していないときでも突然LSDと同じ効果が出てくる作用があります。そして、それはだいたい悪い形(バッドトリップ)として現れます。たとえるなら、ラーメン二郎を食ったことがある人が、食ってないときに突然お腹に二郎が満載される感じです。私自身、明確に「フラッシュバックだった」といえる経験はほとんどありませんが、いいものではないです。

・・・それまでの絶対的な権力から転落し、急変する生活環境の中でLSDのフラッシュバックが起こり、多量の向精神薬を投与され続ける・・・

想像しただけでも怖いです。もちろん、通常の(これもヘンな言い方ですが)犯罪者なら、精神的におかしな部分があれば治療を施されます。しかし、麻原氏の場合は一切の治療がなく(そんなことを許さない世論があったのでしょう)、糞尿にまみれた状態で精神を崩壊させていきました。

念のために書きますが、私はオウム真理教が関連した犯罪行為を正当化するものではありません。あくまでひとりの人間の、歴史に残るほど残忍で不可解な事件を起こした中心人物の精神を、あっさり壊してしまったことへの警鐘です。

警鐘の先はなにか。それは私たちの「善なるココロ」です。人は、よいことを行っていると信じているときほど制止が効きません。オウム事件の後に繰り広げられた排斥活動、国家権力や監視、刑罰の強化。「国民の期待に応えるため」に、異例続きで繰り広げられた裁判。「本人を落ち着かせるため」に投与された向精神薬。すべて、当事者からすると「当然のよいこと」という認識だったのでしょう。

しかし、それは一方でオウム真理教が起こした一連の事件とも合致します。罪深き人々を救済するために殺人を行ったことと、変わらないように思えるのです。

バラエティ番組にも数多く登場し、「ちょっとおかしな宗教家のおじさん」的なポジションだったのに、なんでこうなってしまったのか。その真相が語られないまま、僕らはなにも学べないまま、またひとつ切り捨てて、おしまいになりそうです。