ホフマガリ
日夜秘密の研究を続ける十三(じゅうそう)のキテレツ・サイエンティスト。白衣を着ているのは完全に趣味。夢は北新地に豪邸を建て、そこから夜の町を観察すること。なぜかバーニングマンの知識にだけは非常に長けている。実は白髪とヒゲは世を忍ぶ仮の姿というウワサもあるが、はたしてその正体は・・・?
シャク太
ルック&フィールは小学生の年齢不詳な男性。無垢な好奇心でバーニングマン参加を考えている。両親から初めて買ってもらったグローブがキャッチャーミットだったのが未だにトラウマ。「女の子にも性欲ってあるのよ」と教わり、ドキドキする毎日。ノラ犬と魚の骨は苦手。
絵:悦麿(阿佐ヶ谷姉妹)
シャク太:ねぇホフマガリ博士。僕ね、バーニングマンに行ってみたいと思ってるんだけど、あんまりよく分からないんだよね。どうしたらよいのかな?
ホフマガリ:ほほー。そりゃ若いのに感心感心。ではまずバーニングマンに参加するための基本事項を確認しておこう。開催日は毎年8月の最終月曜日から9月の第一月曜日までの1週間じゃ。ちなみにアメリカは9月の第一月曜日がレイバーデイという祝日になっておる。おっと、ここでいうレイバーとはレイブピープルじゃなくて「労働者」のことじゃから勘違いせんようにな。場所はネバダ州北部にあるブラックロックデザートという巨大な砂漠で、別名「プラヤ」とも呼ばれておる。まぁ本来はプラヤとはブラックロックデザートの特徴ある地面のことを指す言葉なんじゃが、ブラックロックデザート=プラヤ、と考えておいてよいじゃろう。ここは約1000平方kmもの途方もない広さの平地なんじゃ。
シャク太:1000平方キロメートル?どのくらい広いのか分かんないや。
ホフマガリ:そうじゃのぉ、東京23区の広さは621平方キロメートルしかないと言えば分かるかのぉ。東京都内よりも広いんじゃよ。
シャク太:ええー! そんな広いところなの!?
ホフマガリ:まぁ厳密には1000平方キロメートルのすべてを使ってバーニングマンが行われている訳ではないんじゃけどな。しかし気が遠くなるほど広いというのは確かじゃ。
シャク太:すっごいなー。想像もつかないや。
ホフマガリ:ブラックロックデザートはネバダ州にあるリノという町から車で4時間くらいなので、日本から参加するならリノまで飛行機で行ってそこからレンタカーというのが一番楽な方法じゃろうな。
シャク太:リノってどんなところなの?
ホフマガリ:カジノが公認されておるんで、そこらじゅうにカジノがあってネオンが光りまくっている派手な町なんじゃ。じゃがの、不思議なことにあんまり人がおらんのじゃよ。夜中に外を歩いていると誰もおらん中でネオンがバキバキに光っていて、それはなかなかオモロイ光景じゃよ。治安もいいし、食事も宿も安いんでワシはとても気に入っておる。
シャク太:へー。
ホフマガリ:リノには日本からの直行便は飛んでおらんので、サンフランシスコかロサンゼルスまで国際線で行って、そこから国内線に乗り換えて行くことになるんじゃ。まぁサンフランやロスから1時間半といったところかのぉ。ちなみにリノはRENOと書き、空港名はRNOと表記する。覚えておくとよいかもしれんな。
シャク太:リノではレンタカーや食事や泊まるところはいろいろあるの?
ホフマガリ:空港にレンタカー屋が引っ付いておるんでそこで借りるとよいじゃろう。複数の会社があって、インターネットで予約することもできるぞよ。不安なときは日本の旅行代理店で頼んでもよいな。レストランや宿泊施設は山ほどあるからまったく心配無用じゃ。モーテルなら一泊20ドル、ホテルでも一泊30ドルから泊まることができる。食事は「All You Can Eat」といって、日本でいうところの食べ放題のサービスをカジノでやっておるんで、そこに行けば10ドルちょっとでカニでもステーキでも食べ放題じゃ。777というベトナム料理屋もうまいぞよ。
シャク太:へー。安いね。リノってすごいねー。
ホフマガリ:まぁじゃから、とりあえずはリノまで飛行機で行くのが一番じゃと思うぞ。そこは旅行代理店で相談してみて欲しい。
シャク太:リノからは車がないとブラックロックデザートまでは行けないの?
ホフマガリ:そうじゃのー。ヒッチハイクや自転車でも行けなくはないじゃろうが、オススメはできん。会場までのルートを調べて、その途中にあるスーパーマーケットなどでヒッチをすれば成功の確率は上がるかもしれんが、こればっかりは運頼みなんでなんとも言えんのぉ。チャリで行くのは正気の沙汰ではないんでやめておくことじゃ。
シャク太:そりゃそうだよねー。
ホフマガリ:まぁアメリカはレンタカー代も安いし、ブラックロックまでは非常に簡単な道なんで車が一番じゃろうて。どうにも車のアテが見つからなければバーニングマンのオフィシャルサイトでやっている「E-Playa」のサービスか、SNSなどで「車のシェアメイト募集!」と訪ねてみたらよいと思うぞよ。 で、会場に到着したらエントランスで入場チケットを渡すんじゃが、このチケットは毎年1月ごろに発売が開始され、早く買うほど安くなっておるんで行くと決めたら早めに買うことをオススメするぞよ。
シャク太:チケットっていくらくらいなの?
ホフマガリ:2006年は一番安い値段が185ドルで、その後は段々と値上がりして最終的には250ドル以上になるんじゃ。
シャク太:うわっ。高いねー。
ホフマガリ:まぁそれでも1週間続くイベントじゃからの。チケットの値段以上のすばらしいものも得られると思うしのぉ。
シャク太:チケットってどうやって買うの?
ホフマガリ:日本からじゃったらインターネットでバーニングマンのオフィシャルサイトに行き、「will call」で買うのが一番じゃ。これはサイトでチケットの枚数とクレジットカードの番号を入力すると「will callナンバー(正式にはConfirmation Number)」というのがメールで送られてくるんで、そのナンバーとパスポートなどの身分証明書をエントランスで見せると本物のチケットを渡してくれるという寸法じゃ。
シャク太:へー。便利な世の中になったもんだね。
ホフマガリ:ここまでの話をまとめると、会場へはリノの町まで飛行機で行き、そこからはレンタカーで走って行くのが最も簡単。入場チケットはバーニングマンのオフィシャルサイトからwill callで買うのが一番じゃ。そうそう、ブラックロックまでの道順はオフィシャルサイトかマガリスギ.netに載っておるんで参考にするとよいじゃろう。
シャク太:よぉっし。それじゃ今度はどんな持ち物がいるのか教えてよ! ホフマガリ博士!
ホフマガリ:ブラックロックデザートは「砂漠」なんじゃが、砂場や鳥取砂丘のような「砂」の地面ではなく、石灰のようにキメの細かい「粉」を固めたような地面になっておるんじゃ。とてもキメが細かいために砂埃は四六時中飛んでおり、着ているものやテントなんかはあっという間に白くなることじゃろう。これはいっくら掃除しても意味がないんで早めに諦めることが大事じゃぞ。
シャク太:ふむふむ。
ホフマガリ:昼間は40度を超える暑さで夜は10度を下回る寒さなので冬物の衣類も忘れぬようにな。暑いのよりも寒い方が落ちてしまうからのー。
シャク太:そんなに暑いんだ!
ホフマガリ:まぁじゃがブラックロックの暑さは太陽光線の熱さそのものなんで、日陰に行くと途端に涼しくなるんじゃよ。日傘があれば快適に過ごせるかとも思うぞ。
シャク太:夜はでもすっごく寒いんでしょ?
ホフマガリ:そう。やっぱり暑いのよりも寒い方が体にはキツいから防寒具は絶対に持っていくようにな。手袋やマフラーはいらないじゃろうが、フリースの上着や暖かいズボンは必要になる。イメージとしては10月の長野のレイブ・夜といったところかのう。
シャク太:そっかー。大丈夫かなー。耐えられるかなー。
ホフマガリ:あまりムチャをしすぎないことも大切じゃから、適当に休むことと、昼間はとにかく水を飲むことを忘れんようにしておくことじゃ。ゴクゴク飲むんじゃなくて、ガバガバ飲まないと熱中症になる危険性も十分にある。あと日焼け止めと乾燥しておるんでリップクリームや保湿クリームも持っていくようにな。
シャク太:はい! 肝に銘じます!
ホフマガリ:バーニングマンの入場チケットには「死んでしまう可能性もあります」と書いてあるくらいじゃから、体調管理には気をつけることじゃよ。
シャク太:会場内はどんな雰囲気なの?
ホフマガリ:バーニングマンを中心に道路が整備され、ちゃんと区画分けされるんでみんなその区画の中でキャンプをするんじゃ。キャンプをすることが禁止されている場所やあらかじめ予約されている場所もあるんで、どこでキャンプをしていいかはエントランスで地図を渡されたときに聞いてみて欲しい。まぁ途方もなく広いんで空きスペースがないなんてことはありえんじゃろうけどな。
シャク太:うんうん。それでそれで?
ホフマガリ:会場内のいたるところにアートインスタレーションが設置され、音楽もバカスカ流れて、アートカーと呼ばれる過剰にデコレーションされた車が炎を吹き上げながら走り回っているんじゃ。あの雰囲気を言葉にするのは難しいんじゃが、「マッドディズニーランド」や「アシッド遊園地」と呼ばれておるぞよ。
シャク太:へー! すごそうだね!
ホフマガリ:バーニングマンのすごいところとして、参加する誰もが好きにパフォーマンスを行えるというのがあるんで、もしなにかやりたかったらぜひ行動に移してみて欲しい。大がかりなパフォーマンスの場合はバーニングマン・オフィスにあらかじめ申請が必要なものもあるんじゃが、基本的には即興でやってしまってOKじゃ。 またバーニングマンの基本精神として「No Spectators」という言葉があり、これはまぁ、「傍観者になるな」というような意味で、ただ見物してるだけじゃなくって参加者みんなでいろいろやって楽しみましょうというものなんじゃ。
シャク太:へー。でも僕は何もできそうにないんだよね。なんかしなくちゃダメなのかなぁ?
ホフマガリ:まぁそれは全然かまわないと思うぞよ。「アートパフォーマンス」なんて小難しく考えると寒いものになってしまうこともあるんで、ただ見てるだけじゃなくて積極的に遊ぶという気持ちが大事じゃと思うんじゃ。それは例えばレイブパーティーをやってるところに踊りに行ったり、ボディペインティングをやってるところでペインティングしてもらったりということじゃ。同じアホなら踊らにゃソンソン、という言葉そのものじゃのぉ。
シャク太:あ、そうなんだ! それはちょっと安心したかも。
ホフマガリ:まぁ何かやりたくなったら積極的にやってみることをオススメするぞよ。参加した誰もが自分なりの楽しみ方で楽しむことができるのがバーニングマンのすごいところじゃ。
シャク太:他には会場の中ってどんな感じなの?
ホフマガリ:そうじゃのぉ。会場内は金銭による売買行為は一切禁止されておるんで注意が必要じゃ。唯一、オフィシャルな機関としてソフトドリンクと氷が売られているだけで、日本のレイブパーティーのようにケバブ屋やカレー屋は来ておらん。なにか欲しいものがあれば誰かと話をして物々交換するか、タダでもらうことじゃの。じゃから食べるものや飲むものはあらかじめしっかりと準備しておかなくてはならん。リノにあるスーパーマーケットで1週間分の食料と水を買っておくようにな。
シャク太:1週間分かー。どのくらい買えばいいのか分かんないや。
ホフマガリ:まぁ食事を豪華にするか、ショボクするかで全然変わってくるじゃろうな。水はオフィシャルサイトでは1日あたり一人1.5ガロン(約5.6リットル)必要と書かれておるが、これは食器を洗ったりシャワーを浴びたりするときの生活用水も含まれた数字なんで、純粋な飲み水としてだけなら1日あたり0.5ガロンで大丈夫じゃと思うぞ。
シャク太:はーい! 他には他には?
ホフマガリ:会場内はブラックロックレンジャーというボランティアのお助け部隊と、あとは本物の警官が見回りをしておるんで困ったことがあれば彼らに相談することじゃ。たとえば気分が悪くなったとか、自分のキャンプが分からなくなったとか、自転車がなくなったとか、そんなときじゃの。
シャク太:へー。警官も来てるんだ。
ホフマガリ:バーニングマンはアメリカの法律とネバダ州の州法に沿って行われるから、窃盗や暴力行為や違法なドラッグの使用は会場内でも当然禁止されておる。ここは特に気をつけて欲しいところなんじゃが、全世界的に大麻の非犯罪化が進んでおるとは言え、まだまだアメリカでは使用が禁止されておる。バーニングマンの会場内でも吸っているところを見つかると危険じゃぞよ。
シャク太:はい! 早くみんなでスパスパ吸えるようになるといいですね!
ホフマガリ:まったくその通りじゃ。
シャク太:トイレは会場内に作られるの?
ホフマガリ:汲み溜め式の簡易トイレが設置されておるんでそこを使うことじゃ。まぁ快適とは言いきれんので息を止めて入ることが大事じゃろう。毎日取り替えられておるから、朝早く行けばまだマシかもしれん。くれぐれも会場内での野グソは慎むようにな。
シャク太:はい!
ホフマガリ:あとはそうじゃのぉ、会場内にシャワーはないんで風呂に入りたかったら自分で用意する必要がある。
シャク太:い、1週間もお風呂に入れないの? かなりヤバくない?
ホフマガリ:日本とは気候がちがうんで実はそうでもないんじゃよ。ブラックロックはものすごく乾燥しておるから暑くても汗をかかないんじゃな。だからムレることがない。1週間風呂に入らなくてもイヤーな臭いはしてこないし、体が痒くなったりもしないんじゃ。
シャク太:へー。そりゃすごいね!
ホフマガリ:じゃがまぁ、水浴びは快適じゃし、ウェットティッシュで体を拭くのも気持ちいいぞよ。マガリスギ.netのマガリという男は毎朝太陽にちんこを向けながらウェットティッシュで体を拭くのを日課にしておったと言うしの。
シャク太:世の中いろんな人がいるもんだねー。
ホフマガリ:まったくその通りじゃ。あとは、会場内を定期的に散水車が水を撒きながら走っておるんで、その後ろにピッタリとついて行って水浴びするという方法もある。じゃが散水車で水浴びをすると足が泥まみれになってしまうのが難点かのぉ。
シャク太:そうなんだー。それでさ、最後にはバーニングマンが燃やされちゃうんでしょ?
ホフマガリ:そう。それがクライマックスの大イベントとなっておる。
シャク太:へー。どんな感じなんだろ?
ホフマガリ:とにかく、すごくプリミティブ(原始的)なパワーが集まっていてそれはすごい迫力じゃよ。あの感動は他ではちょっと味わえないじゃろうな。
シャク太:楽しみだね!
ホフマガリ:バーニングマンは既成概念をブっ壊すほどのインパクトを持った強烈なイベントじゃ。たとえば、そうじゃのう。ここに曲がったスプーンがある。じゃがな、本当にスプーンが曲がっていると思うかの? ひょっとしたら見ている自分が曲がっているんじゃないかのぉ?
シャク太:なんの話?
ホフマガリ:自分が曲がった状態ではなにが真実なのか分からんということじゃ。それはこの世界全体に対して言えることでもある。バーニングマンを体験して、一度すべての既成概念を壊してシラフの状態に戻ってみることは大事なことじゃと思うぞよ。
シャク太:んー。なんか難しいけど分かるような気もするよ。
ホフマガリ:まぁひとまずは体調に気をつけながらしっかり遊ぶことじゃな! また次のバーニングマンで会えるのを楽しみにしておるぞよ。
シャク太:はーい! しっかり準備して行きます!
ホフマガリ:では、気をつけてな。それじゃワシは趣味の視姦でもしてくるかのぉ。ヒャヒャヒャヒャー!
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